危ない家庭教師〜美男兄弟の誘惑〜
「悪いね、遅くに」


「ううん。お帰りなさい。いつも遅くまでご苦労様」


「お、おお、ただいま」


ちょっと誇らしげに笑った父の顔は赤らんでいて、息がお酒臭い。


今夜もお酒飲んでるんだあ。“酒も仕事の内だよ”って言ってたけど、サラリーマンって大変なんだなあ。


「勉強してたのか?」


「うん。今終わったところ」


「そうか、綾子は偉いなあ」


「そんな事ないよ。学生は勉強が仕事なんだから、当たり前でしょ?」


私がそう返すと、父は頭に手を当て、ばつが悪そうにしながら、


「確かにそうだけどな……」


と言った。


またやっちゃった。どうして私は素直に“ありがとう”って言えないんだろう。


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