危ない家庭教師〜美男兄弟の誘惑〜
「綾子に相談があるんだが、下に降りてくれるかな?」


普通、父親なら“下に降りて来なさい”と言うと思うけど、父は私に気を遣ってか、こういう言い方をした。

私って父親に気を遣わせる娘なんだなと、改めて実感した。


「私に? 何?」


「うん、頼みがあるんだ。詳しくは下で、母さんと一緒に聞いてほしい」


「分かった……」


父の頼みって何だろう。


今まで父から私が何かを頼まれた事って、一度もなかったような気がする。

私は父に続いて階段を降り、リビングへ向かった。


リビングでは、母と冴子がテーブルを挟んで座り、キャッキャと何やら談笑していたが、私の姿を見るとピタッと話をやめてしまった。


それはよくある事だから、私は気にしたりはしないけど。

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