あの夏を生きた君へ






キョロキョロと見渡していると、縁側にばあちゃんが座っていた。


開け放った窓から風が吹き込み、風鈴が鳴る。



ばあちゃんは背筋をピンと伸ばして座り、煙草を吸っていた。
座る時、ばあちゃんは昔から姿勢が良い。



「ばあちゃん。」


声をかけると、ばあちゃんはゆっくりと振り返った。


「あら、ちづ。」

真っ白な髪が風に揺れて、細い目を更に細めて笑った。


「お母さんから、からあげだって。」


「あらあら恵から?悪いねぇ。」


マイペースなばあちゃんは独特のゆったりとした調子で言った。



あたしは、ばあちゃんの隣に腰を下ろす。



縁側から見えるのは、小さな庭。

右側には、ばあちゃんが作っている家庭菜園があって、左側には赤やピンク、白い花が咲き誇る。

花のどれかは酔ってしまいそうになるほどの強い匂いを放っていて、二匹の蜂が周囲をぐるぐると飛んでいた。








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