そらぐみ
松本から忠告を受けた日の昼休み、上野は一人屋上にいた。
コロッケパンの入った袋を片手に、予鈴のチャイムが鳴るまで空を見上げていた。
なぜ来ない、瀬野。
お前には聞きたいことがあるんだ。
やっと聞く決心がついたんだ。
その次の日も瀬野は屋上に現れなかった。
それどころか、出席しているはずなのにまったく姿を見かけない。
もしかして……。
上野は職員室へ急いだ。
「松本先生、この間の件についてなんですが。」
上野が松本の元へ行くと、明らかに嫌悪に満ちた表情を見せた。
視線を感じふと回りを見ると、その表情を浮かべているのは松本だけではないことに気がついた。
職員室にいるほとんどの教師が、松本と同じような冷たい目で上野を見ていた。