Addict -中毒-
するりとネクタイが解け、彼の襟元にネクタイがぶら下がっている。
彼がもう一度顔を近づけてきたので、
私はそのネクタイの両端を握り、彼の首からネクタイを抜き取った。
そしてワイシャツの第一ボタンをそっと外す。開いた胸元からそっと手を滑り込ませると、さらりとした若い肌は冷たい感触がした。
啓人はキスするのを止めて、ちょっと驚いたように目を開いた。
だけどすぐに笑顔を浮かべる。
「積極的だね」
「こんな女はいや?」
ちょっと挑発的に笑うと、啓人は首を横に振った。
「いや。むしろ大歓迎♪」
にこにこ笑いながらも私の手を退けると、彼は片腕をベッドについて、私にキスを落としながら片手で器用にボタンを外していった。
キスの合間に見えた彼の次第に露になる綺麗な筋肉のついた肉体が、部屋のライトでぼんやりと浮かび上がり、彼をより一層美しく魅せている。
彼の首にはシルバーチェーンがぶら下がっていて、ペンダントトップにはターコイズの石をあしらった洒落たデザインのロザリオがくくられていた。
それは涼しくて整った顔立ちの啓人に良く合っている。
唇が離れると、私は啓人の肩に手を這わせ、ワイシャツの中に手を入れるとそろりと滑らせた。
ワイシャツからむき出しになった肩や綺麗に浮き上がった鎖骨、男らしい線を描く首筋は
まるで彫刻のように美しい。
ドキリとして、私は手を離した。
彼はちょっと微笑むと、ちょっとだけ上体を戻し、自らワイシャツを腕から抜き取った。
完全に露になった彼の上半身は、やっぱり均整の取れた完璧に美しい肢体だったけれど、
それが妙に現実めいていて、
はじめて意識したのか、私の体が急に熱を持ったように熱くなった。