Addict -中毒-
はじめてのセックスを思い出す。
はじめては高2の冬だった。やっぱり今みたいにちょっと肌寒くて、当時付き合っていた同じ学年の彼氏の部屋はあまり暖房が効いていなかったにも関わらず、
それでも緊張のせいか寒さを全然感じることがなかった。
緊張し過ぎて、自分からは何もできなかったけれど、それでも一生懸命彼に応えようとしていた。
はじめては……正直気持ちよさなんて微塵も感じなかったけれど、彼の体温が思いのほか温かくて、
人肌の温もりが―――こんなにも心地いいものだと
知った。
それから十四年も経っている。
そのはじめての相手とは別れることになってしまったけれど、もちろんその後も彼氏ができたし、決して多くないけれどそれなりに経験を積んできた―――つもり。
だけど啓人を前にすると―――
私ははじめて恋を知った小娘のときに戻ったような感覚に陥る。
啓人の手が私のニットの中に滑り込んできた。
ひんやりと冷たい掌でおなかを撫でられ、私は身を捩った。
「……冷たいわ」小さく声を漏らすと、
「慣れるって」と啓人はにっこり。
ニットの裾を軽く捲り上げられ、彼の掌が私のわき腹や胃の辺りを行ったりきたり。
私の体温と馴染んで、彼の掌が徐々に温まってきた頃には
その感触が快感に代わっていった。
私のおなかをいいだけ撫で回していた啓人がふいに顔を上げると、至極真剣な顔で私を見つめてきた。
な、何……?
「うっすいおなかだね。ちゃんと内臓詰まってる?」
あまりにも色気とかけ離れたその質問に、私は思わず拍子抜けした。