Addict -中毒-


私は額を押さえた。


今のこの子に何言ってもダメね。


いえ。ダメなのは私……


蒼介が居るって言うのに、若い男と二人きりになるってだけで、不貞と取られてもしょうがない。


でも私たちの間は今日に始まったわけじゃない。


もうずっと前から……


「あちらがタバコを吸いたいから付き合ってくれって言ってきたのよ。私をお話のお相手に、ってそれだけだわ」


アキヨは悔しそうにドレスの裾をぎゅっと握って、私を睨みあげてきた。






「このあとのベッドのお相手も頼まれたわけ?」






私は目を開いた。





「噂で聞いたわ。ジュニアはこのホテルで一泊するそうよ。最上階のスイートに部屋を取ってあるって」





そうなの……






でもそのお相手は私じゃない。






だってこの会場には“アヤコ”さんが居るもの。







事実部屋を取って一泊することは彼から聞いていない。


そのつもりなら、最初から誘ってくる筈だわ。あの男なら―――







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