Addict -中毒-
―――
「よっしゃ!打ち上げだー!!」
ウーロン茶片手に、マイクを握りながら啓人が叫んだ。
ここは街角にある24時間オープンのカラオケボックスの一室。
高校生デートは未だ継続中。だからアルコールはなし。
何に対しての打ち上げか分からないけれど、理由なんて必要はない。
私もさっきの興奮したテンションが下ることなく、タンバリンを鳴らしてグラスを掲げた。
何もかも忘れて、まるで高校生のようにカラオケのマイクに向かって、日ごろの鬱憤を晴らすかのように大声で歌うと
すっきりと気持ちよかった。
お互いイマドキの曲が分からないと言うことだけに目を瞑って。(←ここに年代を感じる)
喉が枯れるまで歌ってはしゃいで、笑って―――
そして……
―――
――
「「…つ、疲れた……」」
カラオケボックスを出たのは朝の四時ちょっと過ぎ。カラオケで歌っていた時間は実に四時間。
四時間って高校生のときもなかったわ。新記録ね。
コインパーキングに停めた啓人の車の中で私たちは二人してぐったり。
「…あれだね?二人してはしゃぎすぎたね」
啓人はちょっとかすれた声で苦笑い。歌い過ぎて喉がやられてるみたい。顔をしかめて喉元を押さえている。
「でも楽しかったわ」
私が笑うと、啓人も安心したように表情を緩めた。