Addict -中毒-


あの、ラムとホワイトキュラソーの……辛くて甘い


あの味を。


私は唇にそっと手をやった。


あの男は―――





ひどく危険だ。





だけど、その危険な味をもう一度味わいたいと思う私が居て、そんな考えを打ち払いたくて


私は焼酎を煽った。





蒼介はその日も帰ってこなかった。






―――


それから三日後。


「ええっ!ユエカ姉さん。それ本当!?」


お店で後輩だった萌羽(モエハ)がリビングでタバコを吹かしながら、びっくりして大きな声を上げた。


ユエカ、と言うのは私のお店での源氏名だ。


月に香。“月”は中国語でユエ。それから漢字の香るを充てたものだった。


萌羽は私の三つ下で私がお店にいるときは№2。今は№1らしい。


彼女とは何かと気があって、それでいて彼女は私を本当の姉のように慕ってくれているので、お店を辞めた今でもちょくちょくこうして会うことがある。


素直で明るくて、どんなときでもどんな立場でも私の味方をしてくれるかけがえのない友人。




まるで本当の妹のような―――





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