Addict -中毒-
まるで恋を知ったばかりの小娘のようにドキドキと胸を高鳴らせて、バーでアルコールを飲んでいたけれど
その日彼は
現れなかった。
バカみたい。
何少女のように心を躍らせて、彼の姿を待ち望んでいたのだろう。
やっぱりからかわれただけなのね。
「チェックお願い」バーテンのユウくんに会計を頼むと、彼は何かを言いたそうに口を開きかけたが、結局私に何も告げることはなかった。
彼にもバカにされた気がして、
私は酷く居心地が悪く、その日は逃げるように家に帰った。
―――
バカみたい。
ここ数日何度そう思ったか。
三日間そう思い続けて、四日目で私は思いたった。
「旅行、行こうかしら」