野球少年と私
『雫…』
「ん?どうしたの?」
私の滝口に対しての気持ち、
はっきりさせたから─…。
『その…、私ね…?』
「もしかして、滝口君の告白を断ったとか」
『え─…?何で』
私の思いを見透かされたように雫が言ったから驚いた。
「お、当たりだっ♪
…だって さっき、凄い勢いで竹本君の所に行ってたじゃん」
『……そうだね。
それだけ、竹本に対しての気持ちが強かったのかも』
周りが見えなくなるほど
君が愛しい。
「美希……頑張ってね!」
雫は私に笑いかけてくれた。
その"頑張れ"と言うのは
気持ちを伝えろって言いたかったんだと思う。
『雫も頑張れ!』
まだ自分の恋を諦めないで──…?
その言葉を胸に秘め、雫に別れを告げ、学校の校門を出た。