記憶の中で… 2
9月ナツキを探して《ユキside》
退院して家に帰って来た。
ナツキは本当にいないのか信じられなくて、ナツキの部屋を開けた。
殺風景な部屋の中。ベッドと…ナツキが勉強に使ってた小さな机。それだけだった。
元々は使ってない部屋で、来客用として使ったりしていただけだから、物はなかったんだけど…。
主のいなくなった部屋は更に寂しさを増した。
何日か前までナツキが使ってたのに…。ここにいた筈なのに…。ナツキを思い出させる物は何もない。まるでここにいた事が嘘のよう。
ナツキ…ナツキ…ナ…ツ…キ……
ナツキがここにいた事を証明する物は…?ナツキの温もりさえ忘れてしまいそうだ。
『ユキ、おかえり。元気になって良かったな。』
『一緒にDVD観ようぜ。』
『これ何て意味?』
『何で漢字なんてあるんだよ…。』