記憶の中で… 2


教えられた交番へ向かった。

交番の中にはお巡りさんが一人。机に向かって何か書いてる。

扉を開けるとそのお巡りさんは顔を上げた。

「どうしました?」

「この近くの小学校を教えて下さい。」

「うーん、二つあるんだけど…。」

「あ、住所はここなんです。」

ナツキの実家の住所を見せた。

「んー、ここならこっちの小学校だね。地図を書いてあげるよ。」

そのお巡りさんは地図を書きながら、世間話を始めた。

「外は暑いでしょう。早く涼しくなって欲しいよ。暑いの苦手でさ、仕事もなかなかはかどらなくてね。君もそう思わない?」

「そうですね。」

気さくな人だなあ。

「君、高校生?大学生じゃないよな?」

「……。」

思わず足元に置いていた鞄に手をかけた。

「僕にも高校生の弟がいてね。これがやんちゃで、気に入らないことがあるとすーぐプチ家出。次の日には、『腹減った~。』て帰って来るんだ。で、ケロッとしてる。端迷惑な奴なんだ。」




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