記憶の中で… 2
第三章 《ユキside》

再会



それから6年の月日が流れた。私は高校で養護教諭をしている。

忙しい毎日だけど、生徒たちと接するのは楽しい。

生徒からは時折、「彼氏は?」なんて聞かれる。そんな質問は適当に流してるけど…。

ある日、保健室に男子生徒がやって来た。手首を捻ったらしい。

手当てをして顔を上げた彼を見て、ドキン…と心臓がなった。

ナツキとそっくりだ…。特に目元がよく似てる。

しばらく顔を見つめたまま動かない私に、「あんまりイケメンでびっくりした?」と悪戯っぽく笑った彼は、高校生だったナツキそのままで、錯覚しそうになった。

「元気そうじゃん。ユキ。」

え?

「俺だよ。忘れたの?」

え…え…?まさか、ナツキの訳がない…。誰?

「高島…」

心臓の音がまるで警鐘を鳴らすように、物凄い勢いで動き出した。




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