記憶の中で… 2


「…ユウキ。」


「う…そ…。ユウキ…君?」

「そ。」

「そんな筈あるわけないよ。だってユウキ君は小学生で、もっと小さくて、声だって高くて…。」

「あのな、何年経ってんだよ。ユキだって高校生じゃないだろ。相変わらずボーッとしてんな。」

「何よう…。う…偉そうに…。ナツキと同じ顔して、…同じ声で、『ユキ』なんて呼ばないでよ…。う…え…。」

一気に気が緩んだせいで、気持ちとは裏腹に涙が溢れた。

「…ご…め…。ナツキを見てるみたいで…うっ…く…。」

溢れる涙はとどまる事を知らない。いくら拭っても止まらなかった。

「それ、兄貴のために取っとけよ。」

「…え?」




< 96 / 121 >

この作品をシェア

pagetop