奴等のシツジ。
プロローグ

彼の瞳がアタシを捉える。

その視線から逃げれる事は今のアタシには到底出来ない。


彼の手がアタシの頬の上にある涙をそっと拭う。

その手がすっとアタシの顎のライン迄移動すると、
その手によってアタシは軽く上を向く。

彼は、ゆっくりと押し付けるようなキスをしてきた。
長く、長く。







こんなにも落ち着けるようなキスは、相手が何を考えてるなんて判らない。

このアタシでさえも。

このまま、唇が繋がりあって離れなくなったらいいのに、
なんて淡い妄想をしながら名残惜しく唇は離れていった。



アタシは奴等のシツジ。

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