十字架に愛を



「行ってきまーす。」


朝。


いつものように家を出る。


「珠妃、おはよ。」


玄関のところで琉が待っていた。


「おはよう。」


琉が私の血を吸うのは、一日三回。


朝と昼と放課後。


だから朝一緒に登校して、誰もいない教室で血を吸われる。


「急がなくちゃね。」


私は琉に声をかけて並んで歩く。



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