朝が待てなくて
「真琴は……」
言葉が途切れる。
「何?」
「真琴は、そんな俺の手を掴んだんだ」
覚えてるか? と訊いた彼の横顔がやっとほころんだ。
「がんばろうの合図だって、ギュッと握って…」
…忘れるわけがないよ。
こんなにも温かい手を離してしまう人の気持ちが
わたしにはまったくわからなかったから――
「お前さぁ、それがどんだけ可愛かったと思ってんの?」
ほころんだ横顔が、もっと照れくさそうに笑った。
「春になったら真琴と桜を見ようと思ってがんばってきたって言ったけど
あれは正確に言うと
春、満開の桜の下で
もう一度お前の笑顔に会いたかったんだ…」