朝が待てなくて

「ぶ」


つむるどころかカァッと目を見開き、ガッチガチに硬直したわたしを見て樹が吹き出した。



「わ、笑わないで…よ」


そう言い終わる頃には、彼の瞳はもう笑ってはいなくて





そっと、唇が重なった――






心臓が苦しいくらいに高鳴っている。


柔らかで温かい樹の唇が離れて小さく息をもらすと、さわさわと木々の葉を揺らして風が渡って行った。





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