朝が待てなくて
「真琴ー! 一緒に帰ろ」
サホリンもミャンマーも今日は彼氏と帰ることになっているくせに、それでも「一緒に」って誘ってくれている。
「やだよ、気ーつかうもん」
元気な笑顔をつくって別れる。
校舎を出て見上げると、空は快晴。
1人で帰るのも悪くないし。
あ、でも……。
「大淀」
1人歩きの後ろ姿に追いついて声をかけた。
「一緒に帰ってもいい?」
「めずらしいな。そっちから声かけてくんのは」
「へへへ」
大淀は学食でご飯を食べて図書室で勉強してから帰ると言うので、つきあうことにする。
図書室にはそういう生徒が何人も残っていて、だけどそれぞれ黙々と自分の勉強をしていて、とても静かだった。