朝が待てなくて
だけど樹はそんなわたしを無視して、もう玄関に足を踏み入れている。
「そうやってわたしを大淀に押しつけて、自分は美里さんの元にもどるの?」
もう言わないって決めてたのに、また美里さんの名前を出してしまう。
一瞬彼の背中が止まった。
「ああ、そうする」
振り向きもしないで樹はそう言うと、部屋の中へと消えた。
ガチャン、と目の前で閉ざされるドア。
深夜のアパートの静まり返った廊下に、鍵のかかる金属音がやけに大きく響いて聞こえた。