朝が待てなくて

はっ。


立ち上がった樹がこっちに歩いてくる。


それだけで、もうテンパる。


まさか『帰れ』とか言わないよね。
引きずり出したり……しないよね?


冷たい目をした樹は何を考えているのか、よくわかんない。


大淀が去ってしまって……、それでもわたしを遠ざける?




樹はテーブルのところで足を止めて、コンビニの袋からお弁当を取り出すと、ヌッとわたしに差し出した。


「え?」


「……まだだろ? 晩飯」


ボソッとそう言う。


「あ、うん。でもお腹すいてないし」


あわてて押し返した。


だってこれは樹の晩ご飯だもん。




でもわたしがご飯も食べずに、ここで樹を待っていたこと、わかってくれていたんだね。


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