ちくわ部
真崎先輩はまたも何か言い返そうとしている最中だったらしいが、ぐっと押し黙った。
ちなみにこれらのやりとりの間、真崎先輩の頭はジン先輩の右手に思いっきり掴まれている。
身長、それに腕の長さが違うため、真崎先輩が抵抗しようと手を伸ばしてもジン先輩まで届かないようだ。
ジン先輩が真崎先輩を馬鹿にしてあしらうやりとりにすっかり慣れてしまったが、冷静に考えるとめちゃくちゃ滑稽かもしれない。
もしかして……塩田君が笑っていたことや奈津さんがほんわかしていたのはこれのせいだろうか。
どちらかというとなんともいえない目で見守りたくなる光景だと思うのだが、それぞれの価値観だろうからそこは仕方ない。
塩田君、さりげなく失礼だな。
人のこと言えないけどね。
さて、話を戻そう。
「入部届って、一枚を担任に、もう一枚を部活の顧問か部長に渡さなきゃいけないじゃないですか。だから念のため確認しておこうと思って」
つまり、ここに入部したければ菊池先輩に届を出さなくてはならない。
しかしもし彼が忙しい人で、この部活の役割通りに毎日来られない人なのだとしたら困る。
肝心なタイミングですれ違い、提出の期日を破るなどのもしものことがあってはいけない。
ジン先輩は少し不思議そうな顔をして、真崎先輩の頭を開放しながら体ごと向き直り真っ直ぐに私を見た。