ラフ
1Fに到着した。エレベーターを降りて、何食わぬ顔で、そのまま外に出た。
すると、1人のリポーターが近づいてきた。

「すみません!ここの住人の方ですか?」

「はぁ。なんっすか」

「今朝、こちらのマンションで、殺人未遂がありましたが、何かご存知ですか?」

マイクを向けられるが、とまらずにそのまますたすたと歩いていった。

「あー、テレビで見たかも。家のマンションっぽいって思ったけど、やっぱそうやったんや。やっベー!」

携帯を取り出して、カコカコと、メールを打ちながら、早歩きでその場を去っていった。

リポーターも私を追いかけるのをやめて、また、マンションの入り口の方へと向かっていった。

ほっ、と胸をなでおろす。
落ち合う約束の場所へ向かった。

「あ、こっちこっち!」

帽子を目深にかぶった、背の高い男性が手を振っていた。
走って駆け寄ると、頭をくしゃっと撫でて、手をつないできた。

「大丈夫やった?なお」

「うん、泉君は?」

「大丈夫!」

にっこり笑って歩き出す。
うーん、なんかちょっと違和感。なんだろ。

「あ、っそうか」

そう言うと、泉の手を放す。

「どうした?」

「こっち」

すっと、泉の腕にからむ。

「手を握って歩くより、腕組んで歩くほうが、自然やない?そうやって歩いてる子をよく見かけたし。たまたまかもやけど」

照れ笑いしながら答えた。
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