君と書いて「恋」と読もう。

終わる瞬間

〜ピピピ…〜

うるさい。
目覚まし音は、僕の苛立ちを誘う。
「面倒くさ…」
一応学校に行く仕度をする。
Yシャツのボタンが止まらない。
「さっさと、俺のやるとおりにやれよ…」
悔しい。
こんな時も、百合のことしか頭にない。
異様にあの女が腹立たしいくなる。
「だまれ…」
もう一度。
「だまれ…」
こんなこと言ってたら、百合が「うるさいわね」とでも言って来てくれないかな、なんて思っていたりもする。
だから、家を出ないで、廊下をウロウロしていた。
「馬鹿じゃないの?」って言えよ。
百合のことを好きなのは、僕だけかよ…。

♪〜♪〜

電話…。
ケータイの着信の文字を見る。
‘百合'その文字が点滅している。
僕はケータイの受話器に耳を当てて話を切り出す。
「なんだよ。」
嬉しいはずなのに、こんな態度しか取れない。
『あら。機嫌悪いのね。』
「悪りぃかよ。」
百合の一言は短い。
『いいえ。あのね、報告があるの。』
クスクス笑っている声。
「なんだよ。早く言えよ。」
その笑い声が憎たらしい。
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