君と書いて「恋」と読もう。
第2章 止まる時

季節

あれから季節は、過ぎ。
あの手紙の日から一年。
僕らは、また夏を迎えようとしていた。
僕らは、未だに何度も体を重ねては、別れ。
あの電話が来た、時が止まった瞬間から、ずっと何も変わらない。
何も変わらないまま、体を重ねた。
そして、今日も僕は屋上へ向かう。

* * *

「あら。また来たの?」
クスクス笑っている彼女は、未だに嫌いだ。
見ててイライラする。
「呼んだのは、お前だろ?百合。」
そう。
僕は今日も、百合に呼ばれていた。
というか、僕が百合を誘ったことは、ない。
「何よ。生意気ね、虹。高3になったからって、逆らっていいわけじゃないわよ?」
その余裕な表情も、いくら時が過ぎても憎たらしい。
「俺も今年受験なんだよ。いちいちストレス溜まるたんびに、呼び出してんじゃねぇ」
うるさい女には、牙を向ける。
それが、最近の僕の生き方。
「あら。本当に生意気になったのね。狼にでもなるつもり?」
確実に、百合は僕の反応を楽しんでいる。
だから、そんな遊ばれるくらいの僕が狼になんてなれるはずもなく。
「俺が狼になんてなれるわけねぇだろ」
人は想像以上に素直だ。
「分かってるじゃない。じゃ、いつも通りね?」
そう言って僕の胸に収まる百合。
あの一年前の日から、脱がせるのは、僕の役目。
「イヤだ」
今日は、何故か気が向かない。
ヤル気が起きない。
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