君と書いて「恋」と読もう。
「あ、そ」
僕はそれだけ、言って終話ボタンを微かに震える親指で、無造作に探した。
そして、ケータイを机の上に置く。
それでも、もう一度電話がこないかなんて、馬鹿な期待をして、学校にさえ行かなかった。
だけど鳴らないケータイは、もうケータイの役目を果たしていない。
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