魔法の戦士《bellator》
携帯
ある日の昼休み


「幸大、明日は暇か?」

翡翠が言う。

「土曜日はいつも暇だけど、何か用事か?」


「ああ。

実は、携帯を買いたいと思ってな。

それで、何せ初めてだから、買い物を一緒に行ってくれればと…」

「ああ。

任せろ。

って言っても詳しくはないからな?」

「私よりはマシだろ?」

「まぁな。」



「ねぇ、じゃあ私たちはライブでも見に行かない?」

テナが言う。

「ライブ?」

圭が聞き返す。

「そうよ。

小さなライブハウスでやってるのよ。

ほら。」

ポスターをテナが見せる。


「カミナリ…ですの?」

『雷』という名前。


「あ、知ってます!

これ、イカズチって読むんです。

一人でやってるんですが、老若男女問わず大人気!

この前も90歳の方がライブで騒いでぎっくり腰になったとか…」


奈々が言う。

「ぎっくり腰で済んだのは奇跡だと思うのだが…」

翡翠が言う。


「でも、聞いたことないわね。」

圭が言う。

「雷はテレビやラジオは愚か、CDさえも出さずに、

ライブハウスに来てくれた方だけのために歌うそうです。」


「奈々は何でそんなに詳しいんだ?」

幸大が言う。

「クラスで噂になってたので。

情報通の私が…」

「で、どうかしら?」

テナが言う。
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