HOPE
 そんな彼女との出来事が、自身の中ではどことなく楽しみとなっている。
「この幸せ者めぇ!」
 蓮が俺の背中に飛び乗る。
「ちょっ、お前……重いって! それに汗臭い!」
「それはお互い様だろ!?」
 確かに、俺の体も汗でいっぱいだ。
 それにしても最近、俺に対する蓮のスキンシップが、日を増す毎に激しくなっている様な気がする。
 気のせいなら良いのだけれど。

 教室に入ると、やはり蓮と俺以外には誰もいない。
 まだ登校には随分と早い時間だから、当然か。
「あ」
 蓮が何か思い立った様な声を上げる。
「どうした?」
「これ」
 彼が見ていたのは、後ろ黒板に貼り付けられている文化祭のポスターだ。
「もう、こんな時期が来たんだな」
 文化祭が始まる次期。
 それは、部活内で三年生が引退する時期でもある。
 この時期が来る頃には、一軍入り確定の俺達は、より練習に励んでいるのだろう。
 三年生がいなくなる。
 部活内で優位な立場に立てる事を嬉しく思いつつも、そんな自分達をどことなく不安に感じていた。

 そんな時期が近付いているからだろうか。
 俺のクラスでは、朝のホームルームで文化祭の話し合いが行われた。
 委員長が黒板に、クラスで可能な出し物を書き込む。
「これが、うちのクラスで出来る出し物なんだけど、皆はこの中で何が良い?」
 黒板には右から、演劇、合唱、ダンスと書かれている。
 こうして見ると、小学校の御遊戯会と何ら変わりない。
 まあ、中学二年生の文化祭なんて、こんな物だろう。
「合唱で良くね?」
「たしかに、演劇は台本とか面倒だし」
「ダンスとか普通に無理」
 個人が何かをしなくても、物事は勝手に進んで行く。
 それが学級活動だ。
 クラス委員長が、度々出される意見を聞き、結論に持ち込む。
「じゃあ、順番に聞いて行くね。まず、クラス合唱が良い人、手を上げて」
< 113 / 151 >

この作品をシェア

pagetop