HOPE
「え!?」
「本当!? 良かった。これで文化祭の実行委員が揃った」
「実行委員? 誰だよ?」
 委員長は俺を指差し、宮久保、蓮と順に指差した。
「おい、委員長。俺は……」
 クラス活動をしている余裕があるのなら、部活へ行きたい。
 そう言おうとすると、委員長は俺の言葉を遮った。
「名前!」
「え?」
「委員長っていうの、堅苦しい。私は橘美咲。美咲で良いよ!」
「おお! いきなり名前呼びか! いいね、いいね!」
 蓮はどこか嬉しそうだ。
「俺は藤堂蓮。蓮で良いぜ」
「はい! 次は宮久保ちゃん!」
 宮久保は戸惑った様な表情を浮かべ、俺を見る。
 どうして、ここで俺を見るんだ……。
 とりあえず、宮久保に向かって頷いてやった。
 すると、彼女も俺に対して頷く。
「……み、宮久保沙耶子。さ、沙耶子で良いから」
「うん! 沙耶子ちゃん!」
 橘は俺に笑顔を向ける。
「え?」
「自己紹介!」
「ああ、烏丸綾人だ。綾人……って呼びたいなら、そう呼べ」
「うん……綾人君」
 真っ先にそう言ったのは、宮久保だった。
 蓮と橘は、にやけながら俺達のやり取りを見物している。
「え? 宮久保……」
 彼女は首を横に振る。
「沙耶子だよ」
 少しだけ息を吐き、俺は彼女の名前を呼んだ。
「ああ、沙耶子」

 彼女達と別れた後、夕日の差す帰り道を、蓮と自転車で走っていた。
「おい、どうして文化祭の実行委員の話なんかに賛成したんだ? しかも、俺まで巻き込んで」
「まあ、しょうがないじゃん。沙耶子ちゃんが伴奏で、美咲ちゃんが指揮者なんだから」
「別に、沙耶子が実行委員になるからって、俺達も協力する必要なんて、なかったんじゃないか?」
 蓮の声が突然、低くなる。
「仕方ないだろ……」
 雰囲気が、どこか重苦しい。
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