坂道
働くこと、医学を学ぶこと、お客様の気に入る髪形を見つけること、市民のために書類を処理すること…。


今を懸命に生きる仲間たちの姿を見て、俺は気がつきました。



その命の燃え尽きるその瞬間まで、精一杯生き抜いた裕美の姿を見て、俺は分かりました。



俺は何もないから懸命に生きられないんじゃない。


懸命に生きていないから何もないんだと。



だから俺は、残された学生生活を、精一杯勉強をして、アルバイトをして、そして東京の友人たちとも、心が通じ合うほどに話をしたいと思います。



こんな日記が、裕美に届かないことは分かっています。


もう、裕美の日記が返ってこないことも分かっています。




でも、書きたかった。




いろいろなものを残してくれた、大好きだった裕美のために。
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