ピンクのバスケットボール

通りすがりのバスケ男子

・・・家を出たのが8時15分。我ながら15分で支度する、っていうのはすごいと思う。でも自分の家から学校まで30分かかる。HRは8時30分から。どんなに頑張ったとしても、遅刻は免れない。だったら、
「遅刻しちゃえ。」
脳内で勝手に遅刻が決定した私は、近くの公園で休んでいくことにした。
「・・・大体、学校まで30分ってのがいけないんだよ・・・あれ?」
私が向かった公園には誰かが居た。かろうじて男、という事と、同じ高校だ、という事だけは、分かった。
「お、私と一緒かな?」
その人は、何かの練習をしているように見えた。その練習は、どうやらバスケのシュートだった。公園の中に入ると、私に気がついてないのか、こっちの方を見てこない。
「・・・バスケかぁ・・・」
もう昔のことだけど、初恋の人はバスケ部だった。その人は指がきれいで、シュートはぎこちなかったけど、頑張ってる姿がかっこよくて好きになったのをまだ覚えている。・・・でも目の前の人は、投げたボールがまるで吸い込まれるようにして、ネットの中に入ってる。・・・なんか感動した・・・
  
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