【完】ラブ☆パワー全開
「ねぇ、仁?」
運転する真剣な仁の横顔にドキドキしながらも、
普段間近で凝視なんて出来ないから目を逸らさないで見つめる。
「今日、バイトだったんじゃないの?」
「あ~、うん……大丈夫かな?」
言葉を濁した仁の顔が少し赤い気がした。
前の車のブレーキランプが反射してるだけ?
「そっか」
あんまり聞いちゃ駄目な事なのかな?
赤信号で止まった仁があたしを見つめて
「綾さん、まだ何か言いたかったんやろ?」
そう優しく聞いてくれる。
やっぱり仁には、隠し事は出来ない。
でも、さっき言いたくなさそうだったし。
聞かない方がいいのかな……って思ってさ。
「ううん、本当何でもないよ?」
その瞬間、信号が青に変わり仁は再び前を向いて運転し始めた。