【完】ラブ☆パワー全開



暫くして出て来た仁は、
楽しそうに笑ってて。


だんだん近付いてくると
聞こえてくる会話に耳を塞ぎたくなってしまう。



「ね、観て正解だったでしょう?」

「おー。まじでアイツ等、最高やったな」

「ねー! でも最後まで観れなかったのが残念だね」

「まぁな。でも礼子も敦達と観てればよかったのに」

「んー、仁が居なきゃツマンナイじゃん」

「何やそれ」

「敦、彼女とラブラブだし」

「あぁ、確かにな」



そこには楽しそうに笑う仁が居て。

その横には、
当たり前かのように笑う礼子ちゃんが居て。



あたし……何やってんだろ。



「綾さん、待たせてごめんな!」



駄目、だ。
顔見れないや。


だけど礼子ちゃんに嫉妬してるなんてバレたくない。



「あ、仁。私行くね」

「おう」



あたしの目の前直前で突然、
礼子ちゃんがアッサリと引いた。


それに驚いて、
あたしが顔をあげるとふんわり笑い軽く会釈をして立ち去る。



何なんだろう、あの子。

全然掴めないよ?



「綾さん?」



仁の声に反応することも出来ないくらいに、
あたしの頭の中は礼子ちゃんでいっぱいになってしまった。




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