ゆびきり
十章 動く心
梨由は、詠士から色紙を受け取ると、

「帰ってからみろ」と、

言われたため、詠士と長く会話をする事なく、タクシーで帰宅した。





「ママ、おかえりなさい」





家に帰ると詩織が笑顔で梨由を迎えた。





「詩織、ただいまー」





梨由も笑顔で詩織を抱き上げた。すると、部屋から光哉も出てきた。





「おかえり、やっと帰ってきた」





光哉はどこか呆れ顔で梨由を迎える。





そんな表情をみて、少し申し訳なさそうに梨由も答えた。





「急に走り出してすみませんでした。あれから、大丈夫だった?」





「大丈夫かは、こっちが聞きたいよ。日和ちゃんは大丈夫だったの?」




あの時、光哉も日和に気づいていたことを始めて知った。






< 227 / 309 >

この作品をシェア

pagetop