エリートな彼は溺愛を隠さない
「ごめん、俺、意味が分からないんだけど」

俺が言うと彼女は俺を抱き締める腕を離して俺を真正面から見据えた。

涙はまだ、あとからあとから溢れてきているが、しっかりとした口調で彼女は言った。

「二年前に…、あなた達の会話を聞いてしまったの。だから、私は分かってるから。

ごめんなさい、私が質問した事がそんなに気に触ったのなら、もう二度とこれからも、話しかけないから」

「え、話がさっぱり…」

彼女はその直後に通りかかったタクシーに素早く手を挙げて止めた。

「ちょ、待って」

説明してくれよ。
言い逃げかよ!

そして乗り込もうとして、最後に俺を振り返り、言った。

「…私初めて見た時からずっと、星野さんが好きだった。あなたしか…、見えなかった。
……ごめんなさい」

え…。

俺が止める間もなく彼女はタクシーのドアをバン、と閉めて去って行った。





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