私と彼の秘密の契約
「おはよう!美咲っ!遅いぞぉ!!早く着替えて!!」


朝からハイテンションの麻美にちょっとびっくり。

今日から体育祭の朝練が始まるから、みんないつもより早く来て、すでにジャージになっている人もいる。

イベント好きの麻美と大地はもう既に着替えていて、今にも教室を飛び出しそうな勢いだ。


結局、私と麻美はバレーに、大地と塗師君はドッヂボールに出ることになった。


私は背が低いからバレーは苦手なんだけど、麻美が一緒に出たいというのでバレーにでることにした。


「美咲!早く早く!」

隣で同じ様に塗師君も大地にせかされている。

私と目が合うと、ちょっと肩をすくめる塗師君。

なんだか、最初のあのそっけなかったのが嘘みたいに懐いてくれたみたい。


ちょっと、嬉しいかも。




って、あれ?
私、何考えてんだ?


ダメダメ!
塗師君は信用ならない。
昨日みたいにいつ豹変するかもしれないし、それに……塗師君は先輩の寿命を狙う死神なんだから。



私も塗師君もなんとか着替え終わると、半ばテンションの高い二人に引きずられる様に校庭へ出る。


校庭ではもう他のクラスが練習を始めている。


「よっしゃー!やるわよ!」

麻美がバレーボールをトスする。

今日は練習初日なので軽くパスを回すところから。


と、言ってもバレーに出るメンバーはみんな経験者か運動部の子ばかりなのでなかなかに上手いものだ。


隣のコートではドッヂボールの練習が始まったみたい。

ちらりとそっちを見ると、大地と目が合う。
大地は無邪気に手を振ってくるから私も軽く返す。



向こうは大地が中心になって練習をしているみたい。


「こぉらぁぁ、美咲ぃぃ!よそ見厳禁!!」


麻美が私へボールを回してくる。


他のメンバーがくすくす笑ってる。

もぉ、麻美ってば。
恥ずかしいよぉ。



慌てて飛んできたボールを返す。


ボールが他の子に回ったすきにまたドッヂボールチームへと視線を向ける。


実は居るんだよね。
あのチーム。
黒いオーラの子。


塗師君、気づいてるかなぁ。
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