【短編】保健医の憂鬱
2時限目
定時に学校を出て
そのまま
待ち合わせ近くの駅のトイレに立ち寄った


ほとんどメイクは直したが
最後の仕上げとして
薄いオレンジのグロスを塗る


私のメイクはの基本は
コンサバ系

某テレビ局のお天気お姉さんほどじゃないが
ほとんどナチュラルメイクで
マスカラとアイライナーで目力をあげたら
後はぷるるんリップでおしまいだ


良い男ほど
ナチュラルメイクが好きなのだ


駅前に立つと
白い高級車が目の前に止まった
そして
運転席から恭しく降りてきたのは
ダークグレーのスーツに身を包んだ
オーランドブルームみたいな
スウィートフェイス


「お待たせしました。」

彼は慣れた手つきで
助手席のドアを開けて私を促す

「ありがとうござます。」

フワッと微笑んで
車に乗り込んだ


革張りのソファにオリエンタルな香り
BSBのサウンドが満たす車内


「さて
今日は私のお勧めのイタリアンなんですけど
食べれますか?」


「ええ。
とても楽しみです。」


私の答えに満足げに微笑む
オーランド似のやり手商社マン


完璧だ…


いま高らかにロッキーのテーマが流れ
私はマウンドに入場した


今夜の相手に不足なし!
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