龍とわたしと裏庭で③【黒魔術編】
放課後、携帯電話を買い替えるために圭吾さんが迎えに来た。

一緒にショップに行き、わたしが目についた物を適当に選ぼうとしたら圭吾さんが顔をしかめた。


「それでいいの?」


「電話とメールができればいいし」


「じゃ、僕が選んでも構わないね?」


結局、わたしがきかれたのは好みの色だけで、後は全部圭吾さんが決めてしまった。


ちょっとムッとした。

わたしには選ぶ権利もないの?


データを移してもらってショップを出ると、圭吾さんはわたしの方を真っすぐに見た。


「気に入らないかい?」


首を横に振った。


気に入らない訳じゃない。

たぶん、わたしが先に選ぼうとした物よりずっと好き。


「志鶴は自分の物となるとどうでもいいように選ぶね」


「そう?」


「これが誰かへのプレゼントだったら、もっと真剣に選ぶだろう?」


「そうかも」


「僕の事も適当に選んだんじゃないかと心配になるよ」

圭吾さんはため息をついた。

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