龍とわたしと裏庭で③【黒魔術編】

声がする。


聞きなれた声

何度となく聞いた声


――邪魔な子、あんたはいらない子なのよ


そんな事ない


――あんたなんていなくなればいいのよ


どうして?


――誰もあんたを愛さない


ホント?


――こっちへおいで。隠れるのよ


うん


――こっちへおいで


延ばした手を誰かがつかんだ。


「志鶴、ダメだ」


圭吾さん?


目を開くと、カーテンを開けた窓の前に立っていた。

ガラスの向こうの夜の闇の中、何かが動いている。


ヒラヒラヒラヒラ


手招きするように動いている。


あの黒い影だ。


「志鶴、僕を見て」


すぐ横に圭吾さんがいた。
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