龍とわたしと裏庭で③【黒魔術編】
圭吾さんはわたしをお布団に寝かせると、自分も横になった。

それからわたしの上に身を寄せて、そっとキスをした。


「どこへも行っちゃダメだよ」

圭吾さんが言う。

「君は僕のものだと言って。お願いだから、その心を僕にくれ」


不思議だった


「どうしてそんなふうに言うの? わたしの心はいつだって圭吾さんのものなのに」


「僕を信じてくれる?」


「うん」


「その気持ちを強く持っていて」

圭吾さんはわたしの額に口づけをした。

「たぶん志鶴を呼ぶ声の主は、君の一部を持っている。髪とか爪とかそういったものを。志鶴が僕のものなら対処できる。君の一部は僕の一部ということになるから」


「分かった」


「気軽に言うね。だいじょうぶかな」

圭吾さんはため息混じりにそう言うと、横になってわたしを抱き直した。

「この休みの間に片を付ける」


「ホント?」


「うん。全部解決して帰ろう」


「よかった」


圭吾さんの温もりが心地好い。


「圭吾さん、大好き」


つぶやくように言葉にすると、わたしは安らかな眠りに落ちた。

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