龍とわたしと裏庭で③【黒魔術編】

朝食が終わった後、わたしとなっちゃんで後片付けをした。

途中から航太も加わる。


「あっちの二人は何かの打ち合わせをしてるぞ」

と、航太。


「圭吾さんが留守中の注意事項だと思う」

わたしは拭いたお皿を航太に渡しながら言った。

「いつもの事よ。圭吾さんは過保護なの。自分がいない時は必ず悟くんにわたしを預ける」


「じゃあちゃんと面倒見てもらってるんだな?」


「なぁに? 航太まで」


「航太も過保護なのよ」

なっちゃんが言った。

「暗くなったら駅まで迎えに来るし、男の子と電話で話してたら『どこの誰だ』ってしつこいし。しーちゃんの事だって、帰って来てるかどうかいつもチェックしてたよ」


「余計なこと言うなよ」


「夏休みにしーちゃんが毎日一人でどこに行くのか、後をつけたこともあったわよね?」


「心配だったんだよっ!」


意外な話に、わたしは目をぱちくりとさせた。


「しーはおとなしいし、あんまり自分を見せねぇだろ?」


全然知らなかった。


今までのわたしは自分の殻に閉じこもるのに精一杯で、誰かの思いやりとか優しさに気づきもしなかったんだ。


心を開けばいつだって孤独じゃなかったのに


「航太、ありがとう」


素直な気持ちで言えた。


「ああ。結局、しーはとんでもねぇ奴に取られたようだけどな」
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