静かな海の兄き
「優しいな…翔。」

また

翔の頭を

優しく撫でながら

宏史が言う。

「そんなことないよ…
宏史が…あんまりにも可哀想だって…
おもっ…。」

そう言いかけた時

なんで…
こんなに優しい目をしてんの?

まただ…

妙な親近感…

変な安心感…

なんで 宏史にそんなの感じるんだろ…

自分を見る宏史の目を見て

さっきも感じた感覚を
また 感じた翔。

「別に 悲しんでないぞ?
むしろ…
今は感謝してるし。」

翔の感じているものに

宏史は 気づいていない…

泣きそうな翔を安心させようと思って

出た言葉だった。

「感謝…?」

我にかえった翔が聞き返すと

宏史は

「引き取ってくれたおかげで、あいつらと出会えた。
俺を 産んでくれなきゃ
そんな出会いすらなかった…

だから…

両方の親に感謝。」

にっこり笑ってそう言った。
< 24 / 36 >

この作品をシェア

pagetop