静かな海の兄き
はやる鼓動
“ピリリリッ
ピリリリッピリリリッ”

その音に

翔の体は“ビクッ”となった。

え…?あれ…?

朦朧とした意識の翔の目に

父の

携帯を取る手が見えた。

今の音…携帯?

辺りを見回す翔。

車の中…?

…てことは…

今の…全部…夢!?

右手で額を押さえ

混乱する頭の中を

必死で整理しようとする翔。

…すごいリアルだった…
宏史をつかんだ感覚も…ちゃんと残ってる…のに…

「翔。」

父の呼ぶ声に

はじかれるように顔をあげた翔。

「お前に…
お前に 話さなければいけない事がある。」

そう言う 父の声は

震えていた…。

「なに?」

翔の体に 緊張がはしる―

「お前には…兄弟がいるんだ…。」

「…は?」

突然そう言われても

理解できないのは 当たり前だ
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