静かな海の兄き
「訳 あって
幼い頃に 私の妹夫婦に養子に出した。」

“ドクン…”

翔の心臓が

激しく高鳴った…

「お前とは双子で…
その子は お前の兄さんになる。」

…ちょっと…待てよ…

翔の鼓動は速まり

頭はぐるぐると何かが回る…

「家にかかってきた電話…
あれは その子の養父でな…
その子が事故にあったと…」

…事…故…?

「バイクに乗ってたところを…
居眠り運転のトラックにはねられたと…
とても…
危険な状態だと…」

翔の鼓動は速まるいっぽうだ…

「それが…」

父の肩が震え出した…

「今…息を引き取ったと…
間に…合わなかった…」

父は 両手で顔を覆い

泣き出してしまい

母は

それを聞き

悲鳴をあげるように

泣き出した。

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