初恋ディジー

無茶な条件


「あのさ。土曜日のことなんだけど希沙にはまだ内緒にしといてくれない?何か恥ずかしくてさ」


月曜日。

いつものように登校すると、下駄箱で会ったさくらちゃんに言われた。


「うん、分かった」


もともと、私からは話すつもりもなかったし、そういうのって自分の口から伝えるものだと思うから。


『――ねえ、聞いた?土曜日に榛名くんが女と二人で歩いてたって噂』


『聞いた、聞いた。すっごいショックなんだけどー。相手って一体どこの誰よ?』


下駄箱の傍で話をしていた女子の会話がふと聞こえ、私とさくらちゃんは耳を傾ける。


「麻有だってみんな知らないみたいだね」


さくらちゃんがそう言って教室に向かおうとした時。
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