初恋ディジー

「私は――…」


答えを待つ彼に気持ちを伝えようとしたけれど、それを止めたのは由香里ちゃんと交わした約束。


「私は――何?」


榛名くんが聞き返す。


「――――ッ!」


今にも溢れだしてしまいそうな想いを抑え、榛名くんの手を離した。


「……ごめんなさいっ」


それ以外何も言えなくて、私は屋上を飛び出す。


そして階段の一番最後の段で立ち止まり、その場に座りこんで顔を伏せた。
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