幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
「今は、あんたを助けるのが先っ!」

あたしは歯を食いしばって腕に力を込めた。


「ローズマリー! サンディ!」

ショーンが駆け込んで来て、ローズマリーを抱き上げた。

「フィンを使いに出した。すぐに伯爵様が来るよ」


「ローズマリーはヒュドラに噛まれてる」

あたしは外に二人を出しながら言った。

「なるべく動かさないで。傷口を洗って」


「サンディ?」


「中にルーがいた。ホークが来るまで守らなきゃ」


ショーンは、あたしを真剣な眼差しで見た。


「無茶するなよ」


「うん。ローズマリーをお願い」


もう一度納屋に入り扉を閉めようとした時、ショーンがローズマリーに優しく言い聞かせる声が聞こえた。


「ローズマリー、サンディは魔導士なんだ。君が心配しなくても、ちゃんとやってのけるよ」



< 147 / 289 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop