幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
あたしは音を立ててスカートの埃を払うと、王妃様に向かって歩き出した。


「おい、お前。どこへ行く気だ?!」

王様があたしに大声で言った。

「止まれっ!」


あたしは立ち止まって、ぐるっと後ろを振り返った。


「あたしに命令しないで」


「な、何だと?」


王様は顔を真っ赤にして怒った。

こんな事、生まれて初めて言われたに違いない。

でも、知ったことじゃないわ。


「あたしはあんたの家臣じゃない。王妃様の侍女よ。王妃様の命令しか聞かない」

あたしは、王様の目を真っ直ぐに見て言った。


「その娘を捕えなさい!」

レディ·クリスタルが金切り声を上げた。


「あんたもよっ!」

あたしはレディ·クリスタルを指さした。

「ここにいるのは王様の家臣でしょう? 勝手に命令してんじゃないわよ!」

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