幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
ホークは剣を鞘に納めた。

「もちろんです。一生退屈しないでしょうし、何より彼女は誠実だ。そこにいる誰かと違ってね」


「何がおっしゃりたいの? イアン」

レディ·クリスタルは強張った声で言った。


「貴女は不誠実な人だと言いたいのだ、レディ·クリスタル。王の使者として右手でヒュドラの調査と駆除を手がけながら、左手ではヒュドラの卵をばら撒いている」


「何を証拠に? 言い掛かりも程々になさいませ」


「わたしの領地で本物のヒュドラを、伝説の大蛇を孵化させたのが命取りになったな」


ヒュドラを?

レディ·クリスタルが?


ホークの言葉に、あたしは拳を握りしめた。


「知っての通り、わたしは一度食らいついたら離さない質だ。悪いが徹底的に調べさせてもらった――リー、いるか?」


「ここに」


アーサー·リーが前に出て、王に頭を下げた。

手には薄い本のような物を持っている。

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